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インフルエンザ脳症と脳炎の違いは?

患者と話している医者

脳症と脳炎は、どちらもインフルエンザによって起こることがあります。
ただし、この2つには大きな違いがあります。
それは直接的な理由と、脳とその周辺でどのようなことが起きているか、ということが挙げられます。

インフルエンザに感染すると、体内では何とかして異物であるインフルエンザウイルスを排除しようと、白血球が多く分泌されます。
その過程でサイトカインと呼ばれる様々な物質が分泌されますが、この時サイトカインが過剰に分泌されると、やがて脳内の血管に作用するようになります。
すると脳内の血管から水分が多くにじみ出るようになり、脳はむくんだ状態になります。
そしてむくんで大きくなった脳は行き場を失い、延髄を圧迫してしまいます。
延髄は意識や呼吸を司る重要な部分であるため、この部分が圧迫されると意識消失・呼吸停止につながってしまうのです。

このように、「インフルエンザ脳症」の直接的な発生理由はインフルエンザウイルスにあるわけではありません。
白血球の暴走により、脳がむくんだために生じたものとなります。

一方、脳炎の場合は細菌がウイルスなどが血流にのって脳に侵入、血管を傷つけてしまいます。
すると血管を修復するために多く血液が流れるようになり、炎症反応を引き起こします。
流れる血液量が多いと、それだけにじみ出る組織液の量も増えます。
すると脳がむくみ、やがて延髄を圧迫させてしまいます。
つまり、脳炎の場合はインフルエンザウイルスが直接脳に侵入、炎症が起きた状態となります。

インフルエンザ脳症と脳炎は、どちらも発熱、激しい頭痛、意識障害、痙攣等を引き起こし、早急に対応しないと死に至ることがあります。
そしてどちらの場合も対処療法が中心となります。
ただし、脳症と脳炎では厳密にいうと脳内で起きていることに違いがあるため、注意が必要です。
そしてもし、痙攣や何を話しても反応しないなどの症状が見られた場合は、早急に病院に連れていくことが重要です。

症状が似ている?ライ症候群とは

インフルエンザ脳症や脳炎と似た症状を示す病として挙げられるのが、ライ症候群です。
これは主に6歳から12歳の子どもに見られる状態で、嘔吐・過呼吸・痙攣・昏睡といった症状が見られます。
ただしライ症候群の場合、体内ではインフルエンザ脳症や脳炎とはまた違った反応が起きています。

ライ症候群は、肝臓のミトコンドリア代謝に異常が生じることによって起こります。
ミトコンドリア代謝とは、酸素を使ってエネルギーを生み出す働きを指します。
この代謝に異常が生じると、脂肪酸代謝をはじめ、体内の様々な代謝に異常をきたすようになります。
すると最終的に脳がむくみだし、インフルエンザ脳症や脳炎と似たような症状を示すようになります。

一方、インフルエンザ脳症とライ症候群にもいくつか違いがあります。
1つは発症年齢の違いです。
インフルエンザ脳症の場合は5歳以下で発症することが多いのですが、ライ症候群の場合は6歳から12歳までの子どもが発症しやすいとされています。
また、発熱からの発症のタイミングも異なります。
インフルエンザ脳症の場合は発熱から1日で発症します。
一方ライ症候群の場合は、発熱から4~5日経過してから発症します。

また、インフルエンザ脳症や脳炎と異なり、ライ症候群の場合は肝機能の異常が見られます。
そのため、脳に対してだけでなく、肝臓に対してもアプローチを行っていく必要があります。

そしてライ症候群の場合、発症の理由として挙げられるのがアスピリン系の解熱剤です。
このタイプの解熱剤をインフルエンザや水泡症を発症している時に使用すると、アスピリンに含まれるサリチル酸がミトコンドリアを攻撃してしまう可能性があります。
そのため、インフルエンザや水泡症の時にアスピリン系の解熱剤の使用を禁止するようになってからは、ライ症候群の発症者は減少傾向にあります。